最近、ビジネスディベロップメント(Business Development)ってよく聞きませんか?
BizDevとも略され、日本語で言うと事業開発が近いです。
今回はこのビジネスディベロップメントの仕事の魅力に迫っていきます。
文系が就く職種では、営業、マーケティングや、総務・法務・経理が主流かと思いますが、ビジネスディベロップメントも検討してみてはいかがでしょうか?
ビジネスディベロップメント(事業開発)

ビジネスディベロップメントとはどんな仕事かを見ていきます。
私も新規事業をやっており、このビジネスディベロップメント的な仕事をしていますし、社外で同様の仕事をしている知り合いもいます。
ただ、このビジネスディベロップメントの職務内容のとらえ方は、企業によって異なっていますし、個人によっても様々な認識があり、定義は曖昧です。
ビジネスディベロップメントとは?
私は、ビジネスディベロップメントとは「既存の事業領域を拡大する仕事」「新しい事業を開発する仕事」と定義しています。特に、その手段として社外のパートナー企業とのアライアンスや、M&Aを用いて、自社にない機能を拡張することが特徴です。
多様化・複雑化する社会・顧客のニーズを満たすことは、なかなか自社のみではできないため、アライアンスやM&Aといった手段で事業領域を広げる必要があるのです。
ビジネスディベロップメント職では自社の経営課題を分析し、どの領域に事業を拡大すべきかを企画して、アライアンスやM&Aといった手段を用いながら実行していくのです。
セールスとビジネスディベロップメントは異なります。分かりやすく言うと、セールスは自社の商品やサービスを顧客に売るのが仕事です。一方、ビジネスディベロップメントは商品やサービスを含む事業をアライアンスやM&Aといった手段を用いてつくっていきます。
ビジネスディベロップメントが求められる背景
ビジネスディベロップメントが求められる背景には、社会や顧客のニーズの多様化があると説明しました。
それに加え、B2CにしろB2Bにしろ、顧客の欲しいものが、有形の商品から無形のサービスや体験に変わっている背景もあります。いわゆるモノからコトへの消費の変化です。また最近はトキ消費・イミ消費といった新しい消費行動も出てきています。
モノ消費では単一の製品を自社で開発していれば良かったですが、コト消費では顧客が使う一連のサービスや体験をプロデュースし提供するため、自社だけではまかないきれないことが多いのです。
複数の企業が自社の得意分野を持ち寄り一つのサービスを提供することで、顧客のニーズを満たすことができるのです。
こういったビジネスディベロップメント職は、外資系企業やスタートアップの求人に多いですが、今後、市場が成熟して大幅な売上増が期待できないなか、この職種のニーズは増えていくと考えられます。
実際、ビジネスディベロップメントとは明確に言っていないものの、日系大手企業でも新規事業立上げの経験や、アライアンス・M&Aの経験がある人材を募集している求人をよく目にします。
ここから伝統的な日本の大企業も次世代の売上の柱を事業開発でつくっていきたい考えが読み取れます。
ビジネスディベロップメントの魅力

ここではビジネスディベロップメントの魅力に迫っていきます。
ビジネスディベロップメントのやりがい
ビジネスディベロップメントの魅力はやはり新たな事業を開発する創造的な仕事である点です。決まった定型業務(ルーティンワーク)を繰り返すのではなく、新しいことを自分で創造する非定型業務であることです。
決まった仕事を言われた通りにこなすのではなく、自ら仕事を創っていくのです。
ただし、これには明確に合う人と合わない人がいると思っています。自分が向いているか、向いていないかはよく考えておきましょう。
人に言われたことをやっている方が楽という人には辛いでしょうが、新しいことが好きな人、好奇心が強い人には魅力的な仕事です。
また、前述したように社内はもちろん、社外との関りも多い職種です。人と交流するのが好きな人、ネットワークをひろげながらビジネスをつくるのが好きな人にはうってつけでしょう。
ビジネスディベロップメントに必要なスキル
事業開発では、自分のもっているスキルを総動員しないといけません。
なんせ自社の経営課題を分析して、そこから事業戦略を立案。規模が大きな案件の場合は、幹部まで社内の稟議を通す必要もあります。
社外のパートナー企業とアライアンスを組んだり、ときにはM&Aで自社に取り込みながら、新たなサービスをつくっていきます。その過程では法務、会計・ファイナンスの知識も要求されます。
更には、そのサービスを世に知ってもらうためプロモーションや、パイロット顧客への営業活動を自分自身で担う場合もあります。
- マーケティング
- 会計・ファイナンス
- 法務
- B2Bセールス
- アライアンス・M&A
- 論理的思考力
- 問題解決力
- コミュニケーション力
- ネゴシエーション
- プレセンテーション
こういったスキルを使いながら事業の企画立案、社外パートナの巻き込み、パイロット顧客への売込みを行っていくのです。
もちろん、全てのスキルでエキスパートになる必要はありません。むしろ全てに精通している人はいないと思います。
自分に足りないスキルは助けを借りて問題ありません。特にM&A、会計・ファイナンス、法務、プロモーションなどは社内外の専門家をうまく使いながら仕事を進めていきます。
ビジネスディベロップメント職に就くには

ビジネスディベロップメント職に就くには、下記の2つの方法があります。
- 今働いている企業で異動する
- 転職をする
①今働いている企業で異動する
社内でビジネスディベロップメントという職種がなくとも、類似した業務を行っている部署があるかもしれません。
例えば事業企画、経営企画などです。もしくは部署と言うよりもプロジェクトチームが組まれている可能性もあります。
社内でそういった仕事ができるチャンスがないか情報収集をしてみましょう。
企業によっては社内公募制度で定期的に募集をしている企業もあります。最近では、KDDIの社内副業制度も話題になりましたね。
こちらも参考にしてください
KDDIの社内副業制度は、大企業の社内副業制度やフリーランス化【変わる働き方】でも解説をしています。
②転職をする
今働いている会社でチャンスがないのであれば、転職という手があります。
外資系企業やベンチャー/スタートアップではBusiness Development、ビジネスディベロップメント、BizDev、事業開発、新規事業企画などの名称で募集がある可能性があります。また、日系企業でも増えてきている印象です。
ビジネスディベロップメント職で求められる必須条件(Must)や歓迎条件(Want)での職種の経験では、一般的には下記が多いです。
- 新規事業開発や事業企画
- プロジェクトマネジメント
- コンサルティング
- 法人営業
新規事業開発や事業企画といった、ビジネスディベロップメント職とほぼ同じ経験を求める企業がある一方、法人営業のように異なる領域の経験でも応募が可能な企業があります。
新規事業開発や事業企画の経験がある人は少ないと思いますが、法人営業の経験者は多いのではないでしょうか?
ビジネスディベロップメントに応募するチャンスがありそうですね。
企業によって求める経験・スキルは異なるので、各企業の求人を確認しましょう。
ビジネスディベロップメントの参考になる本

ここではビジネスディベロップメントの参考になる本を紹介します。
3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略 なぜ、御社の新規事業は大きくならないのか?(三宅孝之・島崎崇著、株式PHP研究所、2015年)
上記の画像からAmazonのリンクに飛べます。
タイトルにもあるような3000億円規模の大きな事業をいかに想像するかという観点で書かれた本です。本書ではこういった大掛かりな事業創造をビジネスプロデュースと呼んでいます。
ビジネスプロデュースとは何か、どうやって進めるか、どのように人材を育成するかなどを事例も使って解説しており、ビジネスディベロップメントの職務内容や仕事の進め方のイメージができます。
戦略コンサルティング会社のドリームインキュベータ(DI)の執行役員が本書の著者です。
なお、ビジネスディベロップメントの本ではありませんが、ドリームインキュベータ(DI)の名前が出ましたので1冊おすすめの本を紹介します。同社創業の話である「青春支援企業-ドリームインキュベータは挑戦する-(山田清機、株式会社プレジデント社、2007年)」は面白いです。DIに参画したメンバーのストーリーを中心に話が展開しますが、各人物の人柄や考え方が際立っており引き込まれます。DIで働きたくなる本です(笑)
まとめ

この記事では注目を集めるビジネスディベロップメントについて解説をしました。
顧客のニーズが多様化・複雑化するとともに、既存事業だけでは大きな成長が見込めない状況より、この職種のニーズは今後も増えていくと思われます。
新しい事業を社外の企業とも連携しながらつくる仕事であり、大変な一方、やりがいも大きいと言えるでしょう。
この記事が少しでも皆さまの参考になれば幸いです。