こんな話を書いていきます。
大手企業のなかにはジョブ型雇用を始めた企業が出てきました。
その動きを受け、これからはスペシャリストが良いという記事を以前書きました。
その記事は【ジョブ型雇用】ジェネラリストかスペシャリストのどっちが良い?です。
その考えは基本的には変わっていません。
しかし、改めて「ジェネラリストにはジェネラリストの良さがやはりある」と思ったので、記事を書くことにしました。
ジェネラリストならではのメリットや強み。そして今後の生き残り方といったキャリア戦略について書いていきます。
ジェネラリストのメリット

私が考えるジェネラリストのメリットは以下の通りです。
- 幅広い視点がもてる
- 異職種への転身がしやすい
- 社内での昇進に有利な場合がある
後程、それぞれの解説をしていきます。
そもそもジェネラリストとは?

メリットを説明する前に、まずジェネラリストとは何かを先に説明します。
ジェネラリストとは、簡単に言うと幅広い知識をもっている人です。
例えば、営業、マーケティング、広報、経理、法務、人事、経営企画といった様々な部署を経験して、それらの仕事について知見がある人です。
ただし、幅広い視点をもつ一方、それぞれを経験する期間は短くなるので、各知識は浅くなる傾向にあります。
幅広い視点がもてる

個人的にはジェネラリストにとっては、この幅広い視点がもてるというメリットが大きいと思っています。
というのが、どうしても一分野を極めるスペシャリストは、特定領域の知識は深くなるものの視野が狭くなり、その発想に限界がある場合もあるからです。
ある職種の仕事をするにしても、幅広い職種を経験してきたジェネラリストだからこそ持てる視点や出来る提案があると思うのです。
例えば、営業のスペシャリストを例に説明したいと思います。
営業のスペシャリストの場合
売って売って売りまくる営業ほど頼りになる存在はいません。
売上を上げてくれる営業パーソンは会社にとって本当に頼もしいです。
しかし営業畑一筋の場合、マーケティング、経理、財務、法務、人事といった知識について知る機会があまりないかもしれません。
しかし、もしこれらの知識をもっていたらどうなるでしょうか?
マーケティングの知識があったら
そもそもマーケティング部門がない会社自体もいっぱいあります。
特にそういった企業では営業がマーケティング的な視点ももつ必要があります。
またできる営業はマーケティング的な考えで営業をしていることも多いです。
- STPで狙う顧客を決め自社の魅力を認知させる
- 3C分析で競合に勝ち選ばれる要因を分析する
- 4Pで顧客への最適なアプローチ方法を考える
このように営業活動にマーケティングの視点を加えることで、効率的な営業ができ、成約の確度も高められると考えます。
つまり、やみくもに電話をかけたり、ネットで見つけた顧客にアプローチするのではなく、狙うべき顧客に営業をかけられます。
顧客のニーズをしっかり把握して、その点で競合を上回る提案ができます。
製品、価格、流通、プロモーションといった各施策の整合性をとってターゲットにアプローチできます。
こういったマーケティング的な視点を営業に活用するのです。
経理の知識があったら
次に、営業にもし経理の知識があったらどうでしょうか。
- 売上だけでなく利益も考慮に入れて販売
- 経営的な観点で提案ができるようになる
- 顧客の与信管理が適切にできるようになる
経理の知識があれば、何としてでも値下げして商品を顧客に売るという考えが変わるかもしれません。
売上だけでなく利益を考慮して売るべきかの判断や、取引条件は適切かの検討ができるようになります。
また、経営的な視点で営業の提案ができるようになると、顧客の幹部に響くでしょう。顧客の経営状況を数字で分析した結果に基づいて提案をするのです。
更には会計知識があれば顧客の財務諸表を読んだり、適切な質問を顧客にできたりして与信管理もしっかりとできるようになります。
このようにある職種の仕事をするにしても、他の職種の知識をもっていることで、幅が広がるのです。
ある意味ビジネスパーソンは総合格闘技です。ありとあらゆる知識を総動員して仕事を進めていくのです。
異職種への転身がしやすい
ジェネラリストは様々な職種を経験してきています。
ですので経験がある分、異職種への転身もスペシャリストに比べれば容易です。
スペシャリストはある分野では深い知識と経験を持っていますが、ある意味これにはリスクがあるんですよね。
自分の得意とする分野の仕事が無くなる可能性もこれからますますあるからです。
それこそAIやロボットに取って代わられる可能性もあるでしょう。
そういったピンチになっても、今まで一つの分野しかやってこなかったスペシャリストはなかなか異職種に転身しにくいです。
一方、ジェネラリストは経験がある分、転身もしやすいと考えられます。
ただし、ジェネラリストの経験はあくまで広く浅くです。その為、転職の競争相手にその分野のスペシャリストがいたら、どうしてもスキルや経験の観点では分が悪いと思われます。
この点は留意しておきましょう。
社内での昇進に有利な場合がある
ジェネラリストは経営幹部への昇進に有利な場合があります。
会社を経営するにはどうやってお金を調達・投資するかのファイナンス。モノを作る製造。製品を企画したり売れる仕組みを作ったりするマーケティング。実際にモノを売る営業。企業活動をサポートする経理、法務、人事。
このように企業の経営には幅広い視点・知識が求められます。
そういった知識をもっているジェネラリストは社内での昇進に有利な場合があります。
もちろん知識だけではありません。
それぞれの立場を経験することで、その立場の人の考え方や気持ちが分かります。
社内である部門に偏らない幅広い人脈を持つこともできます。
こういったバックグラウンドがあってこそ、多くの人の支持を集められ組織が一つにまとまるのです。
ただ一方では、営業一筋や経理一筋といった経営者もいるので、一概には言えないところもあります。
とはいえジョブ型雇用ではスペシャリストが有利かも

このように改めて考えるとジェネラリストにはジェネラリストのメリットや強みが色々とあります。
しかし、とはいえ終身雇用が無くなって転職が活発となり、ジョブ型雇用の普及も考えられるこれからは、スペシャリストが有利なのには変わりがないとも思います。
ここでジョブ型雇用を少しおさらいします。
ジョブ型雇用とは、職務を中心に採用をする雇用契約のことです。
今まで日本企業で主流だったメンバーシップ型雇用では、勤務地や仕事内容が決まっていませんでしたが、ジョブ型雇用ではジョブディスクリプション(職務記述書)に記載された職務内容に対して雇用されます。
これがどういうことかというと「自分の売り」がない人はなかなか中途採用で採用されないのです。
想像してもらうと分かるのですが、マーケティングや営業といった職種単位で募集がかかると、やはりその職種を長年やって結果を残しているスペシャリストの方が戦力になると考えられます。
ですので、広く浅くのジェネラリストは苦戦するのではと思っています。
こちらの記事も参考にしてください
プロジェクト単位の仕事とスペシャリスト【ジョブ型雇用とも関係】
ではジェネラリストはどうするか?

ではそんな世の中の流れに対して、ジェネラリストはどうしていくべきかについて書いていきます。
私の考えでは「T型人材になるのが一つの解」であると考えています。
T型人材は、Tの字の形が示すように横棒にある通り幅広い知識を持ちつつも、縦棒にある通りある領域で専門性を持っている人材です。
これによって自分の強みがありつつも広範囲な知識をもっているので、他部門とのコラボレーションも上手く進められます。
ジェネラリストは何かの分野の強みを意識的に磨くことで、このT型人材へと進化していくべきだと思うのです。
ちなみに、これからの時代は社内外とコラボレーションする機会も増えていきます。
これからは新たな売上をつくるために新規事業や海外事業が必要ですし、顧客の要求もどんどん高度化していきます。
そういった仕事は一部署では完結できず、多岐に渡る部門と協業しながらビジネスを創っていく必要があるからです。
その話は転職の求人で見かけるクロスファンクショナルチームとは?で書いています。
今後求められるT型人材を目指すことを是非検討してみてください。
まとめ

今回はジェネラリストのメリットと課題。
そしてこれからどうすべきかについて書きました。
日本企業には多くのジェネラリストがいます。
今までの年功序列や終身雇用の時代はキャリアは会社が考えてくれましたし、ジェネラリストでも職は保証されていました。
しかしこれからは違います。
自分自身で主体的にキャリアをつくっていく時代です。
是非、自分のキャリアのあり方を考えてもらえればと思います。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。