20代後半から30代とキャリアも中盤にさしかかると、こんな悩みがあるかと思います。
昔は会社に命じられるままに異動や転勤をして、さまざまな職種を経験するジェネラリストが主流でした。
しかし今、日立製作所、富士通、資生堂といった大手企業でのジョブ型雇用導入のニュースもあり、働き方が大きく変わろうとしています。
ジョブ型雇用では職務に対して雇用されるため、ジェネラリストではなくスペシャリストが求められます。
どうやら、終身雇用や年功序列の崩壊が更に加速し、私たちの働き方が変わるのは間違いなさそうです。
この記事では、ジョブ型雇用導入も踏まえて、今後ジェネラリストとスペシャリストのどちらが求められるかについて、深掘りしていきたいと思います。
ジェネラリストかスペシャリストのどっちが良い?

ジョブ型雇用の導入を考えると、私はスペシャリストが良いと考えています。
スペシャリストは自分の売りがあるので、企業で働くにせよ、フリーランスで働くにせよ、ニーズがあるからです。
一方、ジェネラリストは広く浅いスキルなので、明確な売りがない傾向にあります。
新卒で入った企業で勤め上げるのであれば問題ないかもしれませんが、会社の外に出ると通用しないかもしれません。
この考えを詳しく掘り下げていきます。
ジェネラリストとスペシャリストとは?

まずは簡単にジェネラリストとスペシャリストの意味を整理しましょう。
ジェネラリスト
広範囲な知識をもっている人です。ビジネスでは、営業、マーケティング、広報、経理、法務、人事、経営企画など、さまざまな部署を経験することで幅広い知識をもっています。幅広い視点をもつ一方、各分野の知識は浅くなる傾向にあります。
スペシャリスト
ある特定の分野で深い知識をもつ人です。営業、マーケティング、広報、経理、法務、人事、経営企画などの一つを長期間経験することにより、その分野のプロとなった人です。一つの分野に詳しくなる一方、その他の領域については専門外です。
ジェネラリストとスペシャリストの育成方針は企業次第です。
同じ企業に勤めていても、様々な部署を経験してジェネラリスト的なキャリアを歩む人もいれば、ずっと同じ部署にいてスペシャリスト的なキャリアを歩む人もいます。
ジェネラリストは幅広い視野を獲得できるので将来の経営人材に向いているという考えもあります。
ただ、大企業でも営業畑、経理畑などある職種一筋の人が社長になるケースもありますし、外部からプロ経営者を招くケースもあり一概には言えません。
一方スペシャリストは、ある領域で際立った能力があるので、独立がしやすいとも言われています。実際、私の知り合いでも、ITやデザインのプロで独立した人がいます。
なんで悩んでいるのか?

終身雇用、年功序列がしっかりと保証されていた時代にはジェネラリストかスペシャリストのどちらが良いかで悩む人は少なかったのではないでしょうか?
なぜなら、会社が職を保証してくれていたので、自分のキャリアは会社に任せておけばよかったのです。
自分では考えず、会社に命じられる仕事を必死にやればよかったのです。
しかし今は違います。
自分の勤める会社でも、急に希望退職制度や、ジョブ型雇用がはじまる可能性があります。転職や独立をする可能性もあります。
その際には当然、実力が問われます。つまり「何ができるか」です。
その際「広く浅く知っているジェネラリストで良いのか」という疑問があります。
また、スペシャリストにしても「自分の専門分野に将来性はあるのか?」「専門分野で、他の人よりも秀でた能力があるのか?」といった悩みに直面するのではないでしょうか。
せっかく能力を磨いても、極端な話、その職種自体がAIやロボットといった技術の進化でなくなる可能性もあります。
ジョブ型雇用が突き付ける現実

このような悩みがあるなか、大手企業で導入がはじまったジョブ型雇用が、悩みに更に追い打ちをかけます。
ここでジョブ型雇用をおさらいします。
ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用の意味は以下の通りです。
ジョブ型雇用
職務を中心に採用をする雇用契約のことです。今まで日本企業で主流だったメンバーシップ型雇用では、勤務地や仕事内容が決まっていませんでしたが、ジョブ型雇用ではジョブディスクリプション(職務記述書)に明確に記載された職務内容に対して雇用されます。
欧米企業ではこのジョブ型雇用が主流であり、日本でも外資系企業の募集では明確なジョブディスクリプションがあります。
つまり、マーケティング、営業、経理といった職種毎の募集であり、どういった仕事をやるか、どんな経験・スキルが必要かが明記されています。
今までのメンバーシップ型雇用の様に総合職として入社して後の人事は会社次第というのではなく、決まった職種に対して、あなたの能力をアピールして雇用をされます。
その為、先程のジェネラリスト、スペシャリストの話でいくと、ある職種の深い経験・スキルをもったスペシャリストが有利なのです。
ジョブ型雇用導入の背景
ジョブ型雇用導入の背景も確認しておきましょう。下記の理由と理解をしています。
- 競争力の向上
- 多様な人材の活用
①競争力の向上
グローバル化が進むなかで企業が競争力を向上させるには、各分野でスキルの高い人材が必要です。
過去、国内市場の需要が大きく、仕事がたくさんあった時代は、ある意味、高度なスキルは必要なく、大量にある目の前の仕事をこなせばよかったのです。
しかし今は国内市場では限られたパイの取り合いですし、海外では世界各国の企業との競争が待っています。
競争に勝ち残るには、よりも一層レベルの高い人材が必要なのです。
今までのメンバーシップ型雇用では、年功序列の賃金体系で終身雇用を前提に様々な職種を経験していました。
しかし、こういった育成方法では人材の専門性は高くならないので、ジョブ型雇用で専門性の高い人材の採用・育成が必要なのです。そこでの給与は、能力に応じて高い待遇を用意する必要があります。
②多様な人材の活用
少子高齢化により日本では労働力人口が減っていきます。
ジョブ型雇用によって、女性、シニア、外国人、育児や介護をしながら働く人など、多様な人材を活用する狙いがあります。
これは、職種や勤務地が人事で変わるメンバーシップ型ではなしえませんでした。
ジョブ型によって変わるもの
ジョブ型雇用導入によって下記の様な変化が起こるのではと予測します。
- ジェネラリストは困る
- 新卒採用に変化が起きる
- 自分の実力は自分でつける
①ジェネラリストは困る
今までジェネラリストとしてキャリアを歩んできて専門性がない人は困ります。
急に明日からジョブ型雇用ですと言われても、専門性がないので、どの職種にもつくことができません。
まだ若手だったら挽回できます。しかし40代以降で言われても打つ手がありません。
②新卒採用に変化が起きる
将来的には新卒採用にも影響があるのではと思っています。
今の新卒採用は就社を前提に採られています。
しかしジョブ型雇用では、まさに”就職”ということで職能、職種を選んで働きます。
今後、何の能力ももたない学生の就職は厳しくなる可能性があります。
また、今の日本企業の新卒採用では専門性や学業の成績をあまり評価しておらず、学生の自己アピールも部活、サークル活動、アルバイトなどが中心です。
しかし、ジョブ型雇用導入後は、米国の様に学業の成績による専門性の高さが評価の中心になるかもしれません。
③自分の実力は自分でつける
ジョブ型雇用導入後は、より主体的にキャリアをつくる必要があります。
世の中のニーズや自分の強みを考慮して、どの分野を自己の専門分野として能力を磨いていくかを決める必要があるのです。
今までの様な会社任せのキャリアだと、仕事を獲得できなくなるでしょう。
最終的には、一部のジェネラリストが経営層となり、各分野で能力の高いスペシャリストをジョブ型雇用で雇う形に変わっていく可能性があるのではないでしょうか。
本当の意味の”転職”が必要

この記事では、ジョブ型雇用導入がはじまったことを考えると、スペシャリストが良いという私の考えを述べました。
スペシャリストで、社会や企業に必要とされる能力をもっていれば、継続して稼いでいけるからです。
能力さえあれば、ジョブ型雇用で企業に雇われるのも良いですし、独立することもできます。その間をとって副業をすることもできます。
一方、スペシャリストにもリスクがあります。
- 自分の専門分野の仕事がなくなるリスク
- 周りと競争して勝ち残れるかというリスク
それを考えるとスペシャリストはスペシャリストでも、下記を考えていく必要があると思っています。
- 時代に合わせて専門分野を変化させていく
- 専門分野の幅を広げる
これはまさに本ブログのテーマでもある”転職”です。
一般的な意味の会社を変わる転職だけでなく、職業を変える転職という意味です。
時代の流れを読み、今世の中で何が必要とされているかを敏感に察知して、自分の能力を磨いていくべきだと考えています。
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