キングコングの西野さんの「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある(株式会社KADOKAWA発行)」を読みましたが、これは自分でビジネスをやっている人は必読ですね。
読みやすく2時間かかりませんでしたが、めちゃくちゃタメになる金言の嵐でした。
はじめはペラペラめくっていましたが、急速に引き込まれ、これは何回も読み返すことになると思い、付箋を貼りまくっていました。
起業している人、フリーランスの人といった事業をやっている方。そのなかでも正直あまり上手くいっていない人におすすめです。
勉強になるところあり、励まされるところありです。
ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある
この本は「映画 えんとつ町のプペル」が公開されるまでのストーリーです。
お笑い芸人だった西野さんが、どういうきっかけで絵本を書き始め、そして映画が公開されたかといった経緯が書かれています。
しかし、単なるサクセスストーリーではなく、葛藤しながら、苦境に陥りながら、それでも諦めずに辿り着いたことが苦しいぐらい伝わってきました。
我々はメディアで見る華やかな部分しか分かりませんが、現実はこんなに人の感情が入り混じり、泥臭い話だったということに驚きました。
次からは、私がこの本から学んだことを紹介させてもらいます。
生きたマーケティングの教科書
私はマーケティングが好きです。どんな商品を作ったら売れるか、どういう売り方をしたら売れるかを考えるとワクワクします。
この本にはそんなマーケティングの最先端の考えが至るところに載っており、マーケティング好き、戦略好きな人にはたまらない本です。
もちろん教科書的にどこかの会社のビジネスモデルを解説した本ではありません。
あくまで西野さんの実体験に基づいたリアルな話で、試行錯誤して生み出された手法であることがよく分かります。
この本で説明される各種手法は、スモールビジネスをやっている人にはすごく参考になると思いました。自分のビジネスでも活かすべきです。
例えば、戦う場所を変える話は面白かったです。
なぜ、お笑い芸人として若くして成功を掴んだのに、自らその舞台を降りたか。
この話から私は、ネットのプラットフォーマーと、そのプラットフォームに乗っかって商売をする企業を思い浮かべました。
プラットフォーマーに上手く乗っかっておけば、一定レベルの成功はできるかもしれません。しかし、巨大なプラットフォーマーを超えることはできないという現実があります。
それが嫌なら、戦う場を変えないといけないという思考です。
ある程度の成功で満足するのであれば十分なのかもしれませんが、頂点を目指すのであれば、そもそものフィールドを変えないといけないのです。
大切なのは、「どこで結果を出すか?」を問い続けることで、「一番」を目指すのならば、競争に参加するのではなく、競争を作る側(ハード)にならなければなりません。
これはビジネスをやっている人なら考えないといけません。そもそも戦う場所を間違っていたら、永遠に一番にはなれないのですから。
また、どんなに良いものを作っても売らないと届かないという、当たり前と言えば当たり前ではあるものの、多くの人が見逃しているポイントも自身の失敗経験から言及されています。
ビジネスは極端な話、商品を作る人と、その商品を売る人がいれば成り立ちます。特に小さいビジネスでは、作る人と売る人が同じだと思います。西野さんもそうでした。
両方とも一人でしっかりとやるのって難しいです。でも、両方やらないとお客さまには届かないんですよね。
僕は、制作活動の終わりの地点を「完成」と呼ぶのではなく、制作物がお客さんの手元に届くまでの導線を設計し、お客さんの手に届いた地点を「完成」と呼ぶことにしました。
この意識は常に持たないといけません。良いものを作れば自動的に売れる時代はとうの昔に終わっています。売るところまでしっかりやり遂げるのです。
その他にも、この本にはさまざまなマーケティングの学びがあります。
絵本をおみやげにするという、所属する商品カテゴリーを変えて勝負する話は、売れない商品をもつ人には必須の考えです。
競合の商品と同じフィールドでいつまでも戦っていては、価格競争や機能の勝負に巻き込まれてしまい血みどろの戦いをしないといけません。
しかし消費者に違うカテゴリーと認識してもらえれば、その戦いから抜け出せます。
また、作ってから売るのではなく、クラウドファンディングを使って、売ってから(お金を集めてから)作る話からは、今の時代のビジネスの始め方を学べます。
これで「作ってしまったけど売れない!」ということはなくなります。
その他にも、消費者参加型としていること、映画化に持っていくために意図的に仕掛けをしていた話など、参考になる話が盛りだくさんです。
気持ちの面でも学ぶことがたくさんある
ここまでで、最先端のマーケティングが学べることを説明してきました。
しかし私はそれよりも、気持ちの面で学ぶことが多かったです。
例えば知らない人からしたら、有名なタレントが絵本を書いて売れて映画化されたという認識をもっているかもしれません。
しかしこの本には、今に至るまでの不遇の時代について語られています。
読んだ感想は「よく続いたな。普通の人ならやめているよこれは」です。
なんといっても、かけている年月が半端ではないのです。「えんとつ町のプペル」の前にも絵本を出しており、1作目に4~5年、2作目に2年かけています。
それらは想定していたほど成功しなかったとのことで、普通これだけの時間をかけてダメだったら心が折れます。まして、お笑い芸人として成功していたので、そこからの落差がすごいです。
この話から私は「あぁ、ちょっとやそっと上手くいかないからって愚痴を言っていてはダメだな。本当にやりたいことなら、これぐらいの気持ちがいるんだ」と猛反省しました。
もちろん、努力がいつも報われるとは限りませんし、特にビジネスは結果が全てのシビアな世界です。しかし、人一倍の努力もせずに愚痴るのは違うことを痛感しました。もう少し私も頑張ってみようと思います。
それ以外にも、ニューヨークの個展から、アクションを起こすことの大切さや、サロンメンバーやスタッフを大事にする人としての優しさなど、気持ちの面で学ぶことが多い一冊です。
まとめ
今回は西野亮廣さんの「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある」を読んだ感想についてブログに書きました。
ビジネスをやっている人。マーケティングに興味がある人は必読の一冊です。
以下に一応本のリンクも貼っておきますね。
西野さんの著書でいうと「革命のファンファーレ」についても、【書評】革命のファンファーレ 現代のお金と広告で書いています。こちらも名著です。