先日の記事では証券会社で働くメリットとデメリット、得られるスキルなどについて書きました。
成果を出せばそれに見合った報酬をもらえるのが証券会社の魅力であることは、分かってもらえたかと思います。
でもノルマが気になりますよね?
一般的に証券会社のノルマは厳しいイメージがあると思います。
そこで今回は証券会社で気になる営業のノルマについて解説をします。
本質は変わっていないかと思いますが、この記事は約10年前の経験を基に書いていることをご容赦ください。
証券会社のノルマ

まず証券会社の営業には一般的にノルマがあります。
大手証券会社のリテール営業では各個人にノルマが割り振られており、その数字を追いかける日々です。
ノルマが達成できれば達成感を感じるとともにほっとしますが、達成できていなければ焦燥感にかられます。
当然、上司からの指導もあります。
営業が得意で成果も出ている人にとってはやりがいがある仕事ですが、ノルマが達成できない社員にとっては辛い毎日であることが想像できるかと思います。
証券会社のビジネスとノルマ

では、証券会社の営業はどうやってノルマを達成しているのでしょうか?
以下は典型的な証券会社リテール営業の営業活動です。
- 新規口座開設・個人向け国債
- 資金導入
- 投信販売
- 株、外貨建て債券
一つずつ解説をしていきますね。
新規口座開設・個人向け国債

まず、証券会社では新人には既存のお客さまはつかないケースが多いと思います。
それは当たり前と言えば当たり前です。
金融知識がほとんどない新人は役立つ情報を提供できませんし、大事なお客さまに何か失礼があってもいけないからです。
ですので、新人は新規顧客の開拓を中心に行います。
その営業スタイルは足を使った新人自己紹介文などのリーフレットや名刺のポスティング、電話といった非常に泥臭いものが一般的です。
証券会社の商品のなかに個人向け国債というものがあります。
その個人向け国債は日本が発行する債券でリスクが比較的低い商品です。
新人はその個人向け国債をきっかけにして、新しいお客さまの新規口座開設と資金導入を目指すことが多いかと思います。
資金導入

前述の通り、まずは比較的リスクの低い個人向け国債で口座を開いてもらいます。
そして、その後に銀行の預貯金や定期預金の資金をその口座に移動してもらうのが、よくあるパターンかと思います。
これを資金導入といいます。
この資金導入のある意味で面白いところが、信頼がない営業のところからはお客さまは逆に出金をしていくということです。
例えば、熱心に商品をすすめて購入してもらったにも関わらず、その後は連絡をしない営業がその典型的なパターンです。
すすめた商品が安定した値動きであればまだ良いのですが、下がり続けているのに連絡しないのは良くないですよね。
値が下がると気まずくて連絡できなくなるという気持ちは分かるものの、そこはやはりこまめに連絡して状況報告をすることが大切なのです。
これはどんな商品を売るにせよ営業としては基本中の基本です。ただ意外とこの基本ができない人が多いのです。
逆に言うと、お客さまの気持ちになって、今どういったアクションが必要かを考えて行動できる営業は成績がついてきます。
ちなみに、お客さまには懐の深い方が多く、下がったこと自体を責める人は割と少なかったです。
しかし、下がったときに連絡をしない営業からは、お客さまは離れる傾向にあります。そういった営業が担当する口座からは相場が下がるたびに出金されていきます。
いわば資金導入は、営業とお客さまとの信頼のバロメーター的数値なのかもしれません。
投信販売

証券会社のリテール営業は基本的に手数料で稼いでいます。
投資信託(投信)は、お客さまが投資する際に、販売手数料がかかります。
その販売手数料が、営業マンの成績に反映されます。
また、投信は保有している間も信託報酬などのランニングコストがかかってきますので、それも営業の成績になります。
このように継続的に稼げる商品は、営業的にはありがたい商品かと思います。
さらには、そこまで短期売買するような商品ではないので、一度購入すると中長期的に保有してもらえるので出金リスクも防げます。
株、外貨建て債券

その他にも株や外貨建て債券といった商品もあります。
こういった商品も売りながら営業は営業ノルマを達成していきます。
まとめ

証券会社リテール営業のリアルな営業の実態が伝わったでしょうか?
このように様々な商品をお客さまに売って、ノルマを達成していくのです。
営業の難しいところは、瞬間的に大きな売上があってもダメなところです。
継続的に売上をあげていく必要があるのです。
そのためには、お客さまと継続的に関係を強化しながら、並行して紹介や自力で新規のお客さまを開拓していく必要があります。
こういった地道な取り組みを継続できる営業が、コンスタントにノルマを達成できるのです。
この話を聞いて「辛そうだな」と感じられたかもしれません。
しかし数字で評価されるというのはある意味すごく公平なのです。
日本の大企業では飲み会やゴルフなどを通じた上司との関係性など仕事以外で出世が決まる会社もあります(日本に限った話ではありませんが・・・)。
もちろん証券会社にもそういった部分もありますが、営業成績は誰ができていて、誰ができていないか一目瞭然であり透明性があるとも言えます。
バリバリ営業して報酬が欲しい人には向いている仕事かなとも思います。
なお、私はこの仕事を通じて、営業スキルに加えて金融知識を身につけることができました。
厳しい環境だからこそ得られるものもあると考えています。