この記事では今話題のギグワークについて解説をします。
「ギグワークって隙間時間に短時間でやる仕事でしょ?」との声があると思います。
たしかにその通りなのですが、ひとえにギグワークといっても様々です。
例えば、2020年7月にニュースになった「ヤフーのギグパートナー(副業)募集」はご存知でしょうか?
このなかには、戦略アドバイザーや事業プランアドバイザーといった事業の方向性を決める重要なポジションの募集がありました。
普通こういった仕事には、高い専門性やスキル、経験が求められます。
これは皆さんがイメージするギグワークの仕事内容と大きく違いませんか?
フリーランスやアルバイトで働いている人だけでなく、別の会社で既に正社員としてフルタイムで働いている人も応募ができます。
今までは、転職で会社を変わることはあっても、同時に複数の会社で働くことはあまり現実的ではなかったことを考えると大きな変化です。
私は今後このような「ビジネスパーソンのギグワーカー時代」が到来し、専門性の高いスペシャリストが、プロジェクト単位で複数の会社で働くことが普通になっていくと考えています。
ビジネスパーソンの将来の働き方にも大きくかかわってくるギグワークについて、この記事では掘り下げていきます。
ギグワークとは何?

まずはじめに、ギグワークってそもそも何なのかを簡単に説明します。
ギグワークとは単発の仕事をこなす働き方のことです。
ギグ(GIG)は元々、小さなライブハウスで短いセッションをする意味です。そこから派生して、単発で発注される短時間の仕事をギグワークと呼ぶようになりました。
そして、インターネットを通じて、単発で発注される仕事(ギグワーク)を請け負う労働者をギグワーカーと呼びます。
同じく、インターネットを通じて、単発の仕事を受注する働き方や、このような働き方で形成される経済形態をギグエコノミーといいます。
ギグワークが注目されている理由

ギグワークの言葉の意味が分かったところで、なぜこのギグワークが今話題になっているかを見ていきましょう。
そこには大きく2つの理由があります。
- 働き方の多様化
- ギグワークのプラットフォームの普及
働き方の多様化
今は副業ブームですが、正社員にはあくまで本業があるので、隙間時間に効率的に働きたい考えがあります。
また、子育てや介護をしていて、まとまった時間が取れない主婦などは、貴重な隙間時間で働きたい思いがあります。
単発・短時間のギグワークはそういった働き手のニーズを満たせます。
企業としてもギグワークをうまく活用したい考えがあります。というのも、失われた30年と言われるように、日本企業の経営状況は決して盤石でないからです。
少子高齢化などで国内需要が増えないなか、企業としてはコストを下げないと生き残れません。また、グローバル化により、ますます厳しくなる競争環境で勝ち残るには優秀な人材の確保が必要です。
企業としてはギグワークを使うことで、単純作業はコストを下げられますし、ヤフーの例のように外部の知見を効率的に獲得することができます。
このように、働き手と雇い主の両者のニーズが合致することから、ギグエコノミーは今後も大きくなることが予測されます。
ギグワークのプラットフォームの普及
インターネットにより、発注者と労働者を結びつけるプラットフォームが広がったこともギグワークが増えている大きな理由です。プラットフォームのおかげで、発注者(仕事を出したい人)と、労働者(働きたい人)が簡単につながるようになりました。
Uber Eatsのように簡単に発注者(仕事を出したい人)と、労働者(働きたい人)を結びつけるプラットフォームがあるからこそ、ギグエコノミーが拡がってきているのです。
ビジネスパーソンのギグワーカー時代

ここからは、こういったギグワークがビジネスパーソンの働き方や、キャリアにどのような影響を与えるかを考えていきます。
私は将来ビジネスパーソンのギグワーカー時代が来ると思っています。これはつまり、ギグワークの普及によってスペシャリストが活躍する未来です。
ヤフーのギグパートナー募集の一つである、戦略アドバイザーの契約期間・業務時間を見ると、2カ月間、最大5時間程度/月との記載がありました。
これはまさにギグワークですよね。本業においてフルタイムで働いている人でも、働けるレベルの時間拘束です。
このように、短時間でギグワーカーをうまく活用する企業が増えていくのではないでしょうか。
というのも、やはり市場が成熟するなか、成長するには新規事業が肝です。しかし、社内の人材だけでは新しい発想が生まれません。外部の優秀な人材の知見を取り入れることで、新しいビジネスをつくれます。
私は、そこで求められるのは高い専門性を備えたスペシャリストだと考えます。ジェネラリストではありません。
スペシャリストについては、【ジョブ型雇用】ジェネラリストかスペシャリストのどっちが良い?にも書いています。
なぜなら、広く浅い知識をもつジェネラリストは、既に社内にいるからです。
企業が何か新規事業を企画する、経営課題を解決するときに社外に頼りたいのは、自社にはない他業界での経験をもったスペシャリストなのです。
例えば、IT業界のマーケティングのプロ、B2B領域の事業開発のプロなどです。
そうなると、引く手あまたのスペシャリストには楽しい未来が待っているでしょう。自分の実力で、企業の垣根を越えて、面白いプロジェクトにどんどん参画することができます。
当然、そこで新たに得た知見、実績、人脈はさらにその人の専門性・人材の魅力に磨きをかけます。その結果、ますます多くの企業から声がかかるという好循環に入ります。
活躍できるギグワーカーになるには?

ここでは、様々な企業の重要プロジェクトに声がかかる、売れっ子ギグワーカーになるにはどうすれば良いか掘り下げていきます。
以下の3つの考えが必要だと思っています。
- 専門性を高める(スペシャリストになる)
- 人との関係を大事にする
- チャンスをモノにしていく
専門性を高める(スペシャリストになる)
まずは専門性を高める必要があります。ギグワーカーとして企業に求められるには、この業界のこの分野ならこの人と認知されている必要があります。もしそうなれば、売り込まなくても自然に声がかかります。
そのためには今後伸ばすスキルを決め、戦略的にレベルアップする必要があります。
進め方を説明します。まずは今のスキルの棚卸をしたうえで、自分のキャリア目標を決めます。そのうえで、そのキャリア目標を達成するのに必要なスキルを明確にし、そのスキルを伸ばすアクションプランを立てます。
これからの時代、個人のキャリア形成やスキルアップの責任は、各人にあります。会社任せの時代は終わりました。主体的に行動していきましょう。
スキル戦略は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
人との関係を大事にする
ギグワーカーには人脈が大事です。
継続的に面白いプロジェクトに声をかけてもらうには、人からの信頼が欠かせません。良い評判が広まると、あなたが直接知らない人からも声をかけてもらえます。
逆にいくら高い専門性をもっているスペシャリストでも、性格に難があって一緒に仕事をしたくないタイプの人には誰も寄ってきません。
世の中がオンライン化されたことで、信用も可視化されるようになるでしょう。SNSであなたの交友関係、評判が透けて見えます。
サラリーマンで働いていても「あの人は仕事はできるんだが性格がね」とか「気をつけた方が良いよ」といった噂をよく聞きます。
これはギグワーカーでも同じです。会社員は会社が仕事を与えてくれるので人間性に問題があっても仕事に困らないかもしれませんが、ギグワーカーではでより顕著に結果に出てくるでしょう。
人の評判は驚くぐらい広がるのが早いです。ギグワーカーとして活躍したいなら、評判を大事にした方が良いです。
こういった信用貯金・人脈形成は一朝一夕にできることではないので、今から日々やっていくべきです。
私が人と接するうえで大事だと思うのは以下のポイントです。
- 初心を忘れない
- 感情をコントロールする
- 年下でも学ぶことはある
要は謙虚な気持ちで人に接して、常に相手を気づかうことができれば問題ありません。しかし、私が見るに年次が上に行けば行くほど無用なプライドをもってしまい、こういったことができなくなってきます。
意識しなくてもできる人は問題ありませんが、自分の性格の問題を把握している人は気をつけましょう。
そして仕事で関わった人との人脈を大切にしていきましょう。
チャンスをモノにしていく
ビジネスパーソンのギグワーカー時代を見据えて、目の前のチャンスを掴んでいきましょう。
- 社外の研修で他流試合をする
- 社外の人とのプロジェクトを大切にする
ビジネススクール、オンラインサロン、実際の仕事のプロジェクトなどで社外の人と交流する機会を大切にしましょう。
同じ会社の人とだけ仕事をしていると自分の実力が分からないので、社外の人と一緒になる機会があればディスカッションを通じて、自分の実力をはかりましょう。
ある程度会話をすれば、仕事ができるかどうか、もっている知識・経験の量、アイデアが出せるかどうか分かってきます。
そういった場でこの人はデキるな、面白いなと思った人とは連絡先を交換しておきましょう。将来一緒に何かできるかもしれません。
こういったチャンスがあれば積極的に手を挙げたり、自己投資と思い自腹でも参加することをおすすめします。
実現こそしませんでしたが、私も社外の人とのプロジェクトがきっかけで転職の声をかけてもらったこともあります。また、社外の研修で一緒になった人とは人脈ができました。
こういった機会を通じて実力が磨かれますし、人脈を広げるチャンスです。
まとめ

今回は、ビジネスパーソンのギグワーカー時代ということで、一般的なギグワークとは違った視点で記事を書きました。
今はまさに働き方の大変革期です。
ギグワーク以外にも、例えば、トヨタのように在宅勤務(テレワーク)を恒久化させる企業もあります。日立製作所、富士通、資生堂のようにジョブ型雇用を導入する企業や、タニタのように社員のフリーランス化をすすめる企業もあり、大きく働き方が変わってきています。
そして、繰り返しになりますが、ヤフーの例のように、正社員としてフルタイムで本業で働く優秀なビジネスパーソンがギグワーカーとして応募するチャンスも増えていくと予想しています。
優秀で意識の高い人ほど行動し、こういったチャンスをものにしていくでしょう。
今回は未来の働き方について考えを書きました。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。