まずこのタイトル「どこでも誰とでも働ける」に痺れました。
なぜなら、これがまさに私の憧れている働き方だからです。
私が目指す働き方
- やりたい仕事をする
- 働きたい場所で働く
- 働きたい人と働く
- 必要なだけ稼げる
- やりたくないことはしない
ただ残念ながら現時点ではこういった働き方を完全には実現できておらず、手がかりが欲しかったので、この本に何かヒントがないか貪るように読みました。
結果としては「こんな働き方もあり得るんだ」とすごく勇気をもらいましたし、もやがかかっていた未来に少し明かりが見えた気がしています。
この記事ではそんな「どこでも誰とでも働ける―12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール(尾原和啓著、ダイヤモンド出版)」の感想を書きます。
これからの働き方に興味がある方は必見の一冊です。
どこでも誰とでも働ける

まず著者の尾原和啓さんは、本のタイトルの「どこでも誰とでも働ける」を体現している人です。なんと12社での勤務経験があるとのことです。
さすがに私の周りでは12社も渡り歩いた人はいません。せいぜい3、4社です。
尾原さんが働いた会社をざっとあげると以下の通りです。
マッキンゼー・アンド・カンパニー、リクルート、ケイ・ラボラトリー、コーポレイトディレクション(現:KLab)、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天、Fringe81、藤原投資顧問
大企業~スタートアップ。外資系企業~日系企業と本当に幅が広いですね。
この本ではそんな様々な会社で多種多様な経験をしてきた尾原さんの仕事術、転職への考え方、AI時代における働き方のヒントが書かれています。
今からは私の考え方・経験を踏まえて、印象に残った箇所を取り上げていきます。
今まさに感じていた働き方の変化が書かれている

2020年は私にとって働き方が大きく変わった年でした。
満員電車での通勤から、リモートワークへ切り替わったのです。
初めこそ「自宅から仕事なんてモチベーションが上がるのだろうか」「やっぱり顔を合わせて働かないと仕事が回らないはず」といった不安があったものの、意外と仕事が回ることに驚きました。
リモートワークについては賛否両論あることや、リモートワーク自体が不可能な職種があることは認識していますが、私の仕事には相性が良かったようです。
バーチャルな環境でも仕事ができることが分かって感じたのは「これは始まりに過ぎず、未来の働き方はこれをベースにもっと進化していくのでは?」という考えです。
今までは電話会議も使っていましたが「大事な話はやっぱり直接会わないとね」ということで、国内外に出張をしていました。海外の場所によっては移動だけで行きの1日、帰りの1日を使って現地に足を運んでいました。
しかし、それができなくなったことにより、話の重要性にかかわらずWeb会議で全てを完結させるようになりました。
これは私にとって衝撃でした。それは大前提として以下の考えがあったからです。
- 大事な話は電話会議でしてはいけない
- 営業活動は現地に行かないといけない
しかし、もはやその大前提が変わりました。
どんな仕事でもリモートで進められるのです。もっと正確に言うと、リモートで進めざるをえないので、何とかしようとなっているのです。
そしてその結果、何とかなっています。
ここで感じたのはITによって世界とつながれる基盤は既に前からあったが、心理的な障壁があって、そのポテンシャルが100%開放されていなかったという事実です。
今、否が応でもリモートで進めざるをえない環境になって、心理的な障壁が取り除かれ、これからもっと世界は繋がっていくと感じています。
尾原さんのこの本は2018年に出版されていますが既にこう書かれています。
世界がインターネット化することによる影響は無数にありますが、個人の働き方は、多くの人や企業と対等(フラット)の関係でつながり(リンク)、知識や成果を分け合う(シェア)形に進むことになるでしょう。
まさにそういう状態になってきていると感じています。旧来のビジネスの場がリアルからネットに移行しただけではなく、例えばClubhouseというSNSも新たに登場し、人の繋がりはますます加速しています。
今後、リモートで仕事を進めるのに便利なシステムやアプリもますます出てくるでしょう。また、5Gのようにインフラ面でも整ってきます。
ネットを使いバーチャルに世界中と仕事をするのが当たり前の世の中になるのです。
やっぱりプロフェッショナルにならないと

私はこのブログの中でスペシャリストになる重要性を書いてきました。
2020年に大手企業がジョブ型雇用導入を発表したことを受け、今後は「自分が具体的に何ができるか」という社外で通用する実力がないと生き残れないと感じたのです。
そしてこれは日本のサラリーマンにとっては辛い現実です。
ジョブローテーションで様々な部署を経験して広く浅い知識はもっているが、社外で即通用する能力があると胸を張って言える人がどれぐらいいるかです。
私もまだまだ人生長いので「何とかしないといけない」と思っている一人です。
この本ではプロフェッショナルについて書かれています。
これから仕事で活躍できるのは、プロフェッショナルだけになる。
自分で自分を律して成果を出し、それを相手にしっかり説明して、相手がそれを評価してくれること。この3つをおこなうことができれば、どんな職種であれ「プロ」と名乗ることができます。
私は過去の記事ではジェネラリストとスペシャリストの2軸で書いていました。社内のことを広く浅く知っているジェネラリストよりも、一つの分野を極めているスペシャリストの方が、これからは求められると述べました。
基本的にその考えは変わっていませんが、この尾原さんの本を読んで思ったのは、究極的にはジェネラリストやスペシャリストは関係ないということです。
もっと大事なのは引用した内容の通りで、成果を出して、それを人に説明できて、相手が評価してくれることです。
相手に評価してもらうには相手が一緒に働きたいと思う経験やスキルが必要になってくるので、そういう意味ではスペシャリストの方が有利な気もしますが、要は相手の役に立つかなんですよね。
ジェネラリストでも相手が評価してくれれば十分やっていけるのです。
この本で本質に気付かされました。
自分のことをプロと名乗れるようになる。
改めてこれを目標に置きたいと思いました。
以前書いた記事は、【ジョブ型雇用】ジェネラリストかスペシャリストのどっちが良い?です。
会社と個人の関係が変わっていく

2020年は副業が話題になった年でもありました。
ヤフーが「ギグパートナー募集」ということで副業人材を募集したり、最近ではキリンがIoTエグゼクティブ・アドバイザーやマーケティング・エグゼクティブ・アドバイザーを募集したりしています。
これは一般的な副業のイメージとは大きくかけ離れています。
本業が終わった隙間時間で稼いで家計の足しにするというものではなく、社内にはないプロの知見をもった人を広く募っているのです。
これは昔では考えられませんでした。新卒で就職した会社が社会人人生の全てだったのですから。
大きく時代が変わったなという実感があります。
もし自分が企業や個人から引く手あまたのプロになれれば、こんなに楽しい時代はないのではないでしょうか?
いろんな会社や人と働く→そのなかで自分の腕も磨く→大きな成果をあげる
想像するだけでワクワクします。
今はどこで働くか選べないサラリーマンは多くいます。辞令一つで日本中、世界中どこでも行かなければなりません。
しかし、会社と個人の関係が変わり、本当の意味で対等になることができれば、個人としてもっと自分の希望を主張できるようになるはずです。
ただしこれは時代が変わったからといって、みんながそういう働き方をできるわけではありません。
社外で評価される実力があってはじめてそういった働き方を実現できます。
自分が何のプロになるかを決めて、その実力をつけることが必要ですね。
転職への考え方と働き方

この本には転職を12回した尾原さんの転職へのスタンスも書かれています。
会社を辞めるつもりがなくても毎年転職活動をするという考えには共感しました。
転職経験者なら分かるかと思いますが、転職活動をすることによって自分の市場価値が見えてきます。
「自分のこんな経験を評価してもらえるんだ」「思ったより自分のスキルは評価されない。少し方向転換が必要かも」といった新たな気づきが得られます。
世の中から見た自分の価値を知るには、労働市場に身を置いてみるのがいちばんです。
まさにこの通りなんですよね。
その他にも共感・学びがありました。
- 転職を「目的」ではなく「手段」としても考える
- 「始まりの場所」にいる大切さ
- スキルからエクスパティーズとネットワークへ
今の働き方に満足していない人。何かを変えたいと思っている人にはおすすめです。
まとめ

今回は尾原さんの「どこでも誰とでも働ける」を取り上げました。
2018年の本ですが2021年となった今、その本で書かれている内容が徐々に実感をもって現実になってきています。
尾原さんはすごいキャリアの持ち主で、全く同じ働き方を完全にコピーできるかというと疑問は残りますが、参考になる点がかなりありました。
私は大きな目標としたいと思っています。
興味をもたれた方のために、下記にリンクも貼っておきます。